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読者談話室 母乳育児—私の苦い経験をふり返って
藤井 久美子
pp.880
発行日 1989年10月25日
Published Date 1989/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207715
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- 文献概要
私が長男を出産し,その後母乳分泌不足に悩んでいた2年前,丁度1987年10月号の本誌とらうべ「母乳のすすめ・再考」を読み,随分助けられました。今や"母乳育児"は当然のことのように報じられていますが,母乳で育てなければ母親失格のような印象まで与えすぎていないかと疑問に思うこともあります。そう考えていながら,私自身母乳分泌不足に悩み,結局人工乳に頼り,"母親失格"という錯覚に陥ったのも事実です。母乳分泌不足に悩む母親はたくさんいます。私のような経験をした人もいるでしょう。そんな母親に私たち助産婦がどんな援助をしていけばよいか,もう一度考えたくてペンをとった次第です。
私は産休の8週間は母乳も余る程出て「これなら母乳で育てられる」と自信をもったものの,あと1週間で職場復帰という時になって乳房の張りがなくなり,何度吸わせても泣かれ途方に暮れました。母乳分泌不足では?と,不安がよぎりました。職場復帰するというストレスと,長男を置いていくことへの後ろ髪を引かれる思いが重なったためでしょう。
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