特別寄稿
前期破水妊婦のプロムフェンスによるケア
永井 明美
1
,
安藤 輝江
1
,
永野 美恵子
1
,
浦田 敬子
1
,
今中 基晴
2
1大阪市立母子センター
2大阪市立母子センター産婦人科
pp.473-478
発行日 1989年6月25日
Published Date 1989/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207635
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はじめに
破水は本来分娩にいたる一過程であり,陣痛が発来し,子宮口が全開大する直前で卵膜が破綻するのが定型的である。しかしながら,子宮収縮をともなうことなく破水してしまう前期破水,特にpretermに発症する前期破水は,早産すなわち未熟児出産の最大の要因として,また,管理あるいは治療方針の選択によっては児の予後に重大な影響を与える点で周産期管理上,重要な疾患の1つに挙げられている。
前期破水患者において妊娠を継続する場合,管理の主眼は上行性感染や羊水過少といった問題点をいかに解決するかにある。従来の前期破水管理は消極的待期,つまり経過を観察し,適当な時期に娩出を図る方策であったが,大阪市立母子センターでは頸管留置カテーテル(プロムフェンス)を用いて,より積極的な待期,つまり単に感染や羊水過少を防止するだけでなく,前期破水による感染,児の未熟性を胎内で治療することを目的としている1)。
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