特集 アタッチメントの形成
「母性」を本当に大事にするということは
大日向 雅美
1
1恵泉女学園大学人文学部
pp.386-391
発行日 1989年5月25日
Published Date 1989/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207615
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「困ったママ」への困った反応
朝の慌ただしいひとときを終えて,ほっと一息,コーヒー片手にパラパラと新聞を繰った私の目に,こんな見出しがとびこんできました。"多いんだよね「困ったママ」"(朝日新聞1989年1月24日)。ああ,またか!朝のさわやかな空気がすーっと消えていくような気持ちでした。
この記事は「子どもの城・小児保健部」がこの3年間に受け付けた約3,000の相談事例の一部を紹介したものでした。たとえば"2歳の子どもがほとんどしゃべらず,目もうつろ,表情も乏しい"と来談したケースは,赤ちゃんの頃から母親がほとんどヘッドホン式ステレオをつけたまま世話をしていたとか。子どもと接するときには,ヘッドホンをはずして,子どもの声を聞きながら自然な語りかけをするように指導したところ,子どもの状態がかなり改善されていったようです。また,別の母親は,"あまり抱かないように"と,ある医療関係者にいわれたことを"忠実に"守って,その子が4歳になるまでほとんど抱かずに育てていたとか。
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