特別寄稿
これからの助産婦に求められる能力への提言
平澤 美恵子
1
,
新道 幸恵
2
,
熊沢 美奈好
3
,
内藤 洋子
4
,
佐々木 和子
5
,
松岡 恵
6
1日本赤十字看護大学
2国立公衆衛生院
3神奈川県衛生看護専門学校附属病院
4国立東京第二病院附属看護学校
5国立仙台病院附属看護助産学校助産婦科
6東京大学母子保健学教室
pp.301-305
発行日 1989年4月25日
Published Date 1989/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207598
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はじめに
人類の歴史が始まって以来,人々は人を産み育てることにおいて援助をしあってきた。その援助行為は人間の歴史とともに変遷を経て職業化し,制度化されて助産婦という専門職が成立した。専門職としての業務と役割を確立したことで,助産婦は,その時代の社会の変化や,母子と家族また地域社会のニーズに対応しながら,対象者を尊重し,個別性に基づいた援助を行なっていくよう要請される。そしてその結果が母子保健の向上に結びつけられるような役割を,助産婦は果たしていかなければならない。
21世紀まであと,ほぼ10年を残すだけとなった現在の社会は,高齢化,情報化,国際化等の変化の波をかぶりつつ大きく変貌しつつある。平均寿命の延長,長寿化にともない,国民のライフスタイルは「人生80年型」になってきており,家族の構造と機能も,女性の社会進出や単身志向などの影響を受けて旧来とは変化している。意識の面でも,生活水準の向上,自由時間の増加を背景に,生活の質の向上,精神的豊かさへの志向が高まると共に,価値観は多様化,個別化している。
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