連載 話の聴ける助産婦になるために・12(最終回)
カウンセリングによる心の理解
東洋の心に学ぶ
大須賀 克己
1
1日本グロースセンターカウンセリング研究所
pp.242-246
発行日 1989年3月25日
Published Date 1989/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207581
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技術と人間の豊かさ
これまでは,カウンセリングが含むところの人間関係の原理を中心にして,人(助産婦)が,いかに自己を深め,人(妊産婦)に対したらよいかについて学んできました。助産婦は出産をめぐることがらについては専門家であり,それに関する知識を十分もっています。しかし,本当に難しいことは,その知識や技術を,どのように自分のものとして活かしていくかということです。そこに,カウンセリングにおける心についての考え方が,大きく役に立ってきます。そこで最終段階として,これまで学んだことをちょっと整理してみましょう。
人間に関することは,すべて,心を通して吸収されます。ですから,そのプロセスがどのようなものかを洞察せずに,人間を対象とする助産婦の仕事も全うすることはできないはずです。ただ知識や助言を一方的に与えるだけでは不十分です。助産婦の仕事を遂行していくためには,確かに知識と技能が備わっていることは大切ですが,それを,より効果的に活かすには,感受性の豊かさが特に求められてきます。ところが,この感覚は,単に技術的に磨くということが無理なようです。それにはその人自身の心が,本当の意味で安定していなければならないからです。
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