特集 懸賞論文結果発表
エッセイ部門 テーマ:私のB面
佳作
東洋医学を学ぶ愉しみ
酒井 太一
1
1宮城大学看護学部
pp.765-766
発行日 2004年8月1日
Published Date 2004/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100546
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私は,横になった男性の左側に立つ。まず,細く長く息を吐くと,私の呼吸は整い,手はゆっくりと温かくなってくる。次に,左手の指先で男性の足首に触れながらツボを確認し,右手に持った頭髪ほどの太さの鍼をスッと刺す。そして,イメージのなかで円を描きながらしばし待つ。一呼吸,二呼吸…。滞っていた何かがゆるやかに流れるような,不思議な感じが手に伝わってくる。すると,先生がおもむろに男性の脈に触れ,鍼の効果を確認する。「酒井さん,悪くないよ。その調子…。」
これは,私が通う鍼灸の勉強会の1コマだ。この勉強会は,区の障害者センターにて毎月第3日曜日に行われる。午前中は鍼灸臨床に関する講義,午後は前述のような鍼治療を実際に行う。参加者は,現役の鍼灸師のほか,現在それを志している学生だ。私は,この勉強会に参加して約1年半になる。
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