連載 話の聴ける助産婦になるために・8
カウンセリングによる心の理解
共感的理解
大須賀 克己
1
1日本グロースセンター カウンセリング研究所
pp.926-929
発行日 1988年11月25日
Published Date 1988/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207509
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知的に理解しない
ある人のカウンセリングを行なうにあたって,そのアプローチには,2つの考え方があると述べました。一つは,その個人のさまざまな情報を分析して援助しようとすることであり,もう一つは統合的に個人の心を深く包み込んでいくものです。特に専門的カウンセリングに携わっていない人にとっては,相手を人間まるごと理解してコミュニケーションを確立し,その上にたって各自の専門的知識を提供するようにすることです。助産婦の場合も同様であり,そうすればあなた自身の人間性が信頼され,不安をもつ妊婦に安心感を与えながら知識も伝達されることになります。
さて,ものごとを相手に伝える場合,感情的な面が想像以上に大きく作用します。どれほど論理的に説得し,知識を与えても,必ずしも相手の心の中に深く入っていくとは限りません。特に助産婦の場合には,医療的行為が含まれていますので,このあたりに心くばりをして妊婦と接触してほしいと思います。
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