連載 続・ペリネータルパソコン入門臨床応用篇(最終回)・12
コンピュータによる病床管理—病床混雑度予測
久保 武士
1
1筑波大学医学専門学群産婦人科
pp.250-253
発行日 1989年3月25日
Published Date 1989/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207583
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はじめに
本来,生理的健康的である妊産褥婦が,他科の患者と同室することの不自然さは改めて述べるまでもない。したがって,産科棟・周産期棟であれば妊産婦だけが入院することになるが,これらの患者の入院は,原則として妊婦の陣痛発来がきっかけとなる。陣痛発来という曖昧な要素に基づいて病床管理をしなればならないために,どうしても病床稼働率を一般病床のような高いものにはしにくい。この問題を解決する一つの手段として,コンピュータを使った病床混雑度の予測システムを開発したので,これについて簡単に述べたい。
一度も受診していない妊婦が,突然陣痛が始まって入院してくる,いわゆる『飛び込み』分娩を例外とすれば,ほとんどの妊婦は前もって分娩する施設で分娩予約をし,かつantenatal careを受けているのが普通である。したがって大抵の施設では,分娩棟に分娩予約者リスト(「予約者リスト」というあらたまったものでなくても,カレンダーの相当する日付のところに予約者名を記入したもの)が掲示されていて,それを見ながら意識的あるいは無意識のうちに近い将来における病床の混雑度を予測している。予定日超過の妊婦が多数いれば早晩分娩ラッシュに見舞われると想像するし,かなり予定日が先の予約者まですでにお産が済んでいれば,しばらくは分娩の少ないことを予想する。
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