連載 話の聴ける助産婦になるために・9
カウンセリングによる心の理解
評価をこえて聴く
大須賀 克己
1
1日本グロースセンター カウンセリング研究所
pp.1028-1031
発行日 1988年12月25日
Published Date 1988/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207532
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安心を与える会話
カウンセラーにとって,相手の話をどれほど深く聴くことができるかは,大変重要なことです。「話を聴く」という言葉は単純ですが,そのなかにはさまざまな意味が含まれています。またその聴き方によって,クライエントは元気をとり戻したり,ときには精神的に傷つくことさえあります。このことは助産婦の仕事においてもまた基本的に変わるところがないでしょう。
話を聴く場合に大切なことは,まず言葉の意味を間違いなく聴きとっていくことと,その人の感情を汲みとっていくことですが,さらに忘れてならないことは,こちらが話を聴いているときに相手に深い安心感を与えなければならないことです。したがってカウンセリング学習においては,クライエントの言ったことを録音(逐語記録)して,その話をいかに正確に理解したかが問われますし,言葉の意味は十分に理解したつもりであっても,逆に相手の気持ちを理解しないで過ごしてしまうこともあります。また,カウンセリングの勉強をしている人たちは言葉を正確に理解したり,今相手が何を感じているかを正確にとらえることができるのですが,クライエントはどこかで窮屈に感じていることがあります。つまり言葉を理解するとか,そのときの感情がわかるといったこと以上に,会話のなかにはさらに重要なことが含まれていることを見逃してしまうのです。
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