連載 リレーエッセイ 医療の現場から
音楽を奏でる人も聴く人も幸せに―国も障害もこえた交流演奏会
及川 光悦
pp.751
発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101789
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「障害者週間」「東欧音楽家支援」の国際親善交流演奏会も今年で23年目になります.この演奏会を始めたのは私がヨーロッパで仕事をするようになってからのこと.私たち演奏家にとってロシア・東欧諸国で演奏することは大変重要です.ロシアはチャイコフスキー,リムスキー=コルサコフ,ムソルグスキーなど数多くの音楽家を輩出し,ポーランドはショパンが生まれ,ハンガリーはリスト,チェコはドボルザーク,ルーマニアはジョルジュ・エネスコ,ブルガリアは世界的な歌手が活躍しています.私は幸運にもこのような芸術大国の名門オーケストラと仕事を続けてきました.
ところが,この名門オーケストラで目にしたのは,ぼろぼろのピアノで練習し,楽器の弦を買うのもままならない音楽家の生活でした.日本の音楽家がもつ高額な楽器など手が届かない状態です.そのような経済的に恵まれない中から世界的なアーティストが出てくるのです.
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