連載 助産婦が好きだから・11
「看護を伝える」ということと,「看護を学ぶ」ということ
岡部 恵子
1
1日本看護協会卒後教育部
pp.153-157
発行日 1988年2月25日
Published Date 1988/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207324
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看護婦に限らず仕事をしていると,人間関係とかコミュニケーションに関する問題は避けて通れないことのようです。私自身にしてみましても,いつまでも心に残っている辛さのひとつは人とのかかわりの上でのトラブルなのです。
若い頃,どうしても夜勤を一緒にしたくない仲間がいました。日勤と夜勤とで仕事ぶりがあまりにも異なるのが許せなかったのです。夜勤になると急に怠惰になる人でした。もちろん,逆のこともありました。私と夜勤をするととても疲れるといわれたのです。看護することに自信のなかった私は,過ちのないようにと懸命でしたから,ついついそれが過ぎて一緒に働く仲間に負担をかけていたようです。そうした思いは口に出さずとも互いに感じあえてしまうものですから,なんとなくぎくしゃくしてしまいます。でも,意地っぱりの私は「私は悪くない!」とひそかにつぶやき,辛さに耐えて仕事をしたのを思い出します。そんな私にしましても「看護はチームでなければ行なえないのだ!」と漠然とは納得していましたから,なんとか人間関係を取り繕って仕事をしていく習慣も身につけてきました。チームで仕事をするって,時にはとても大変なことなのです。「気持ちのあった看護者だけで仕事ができたらどんなにいいだろう」と考えたこともたびたびありました。
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