特集 奇形・障害児を出産した母と児への看護・Ⅰ
無脳児出産の母親への看護に対する一考察
村上 孝子
1
,
葛原 久子
1
,
木立 由美子
1
1黒石病院
pp.926-933
発行日 1987年11月25日
Published Date 1987/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207256
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はじめに
近年,周産期医療のめざましい進歩により,周産期死亡は大幅に減少したが,先天異常の周産期死亡に占める割合が非常に大きくなってきた。わが国の先天異常発生率は0.5〜0.9%であるが,脳神経系の奇形は17.6%を占め,その中でも無脳児の占める割合は58.6%で第1位となっている1)。このような周産期の背景をになって,看護の役割もより厳しい側面をもたざるをえなくなっている。
今回,無脳児を分娩した母親への看護にあたって,私たちは事実を隠しぎごちない対応をとってしまった体験をした。「奇形に対する認識」「告知することの意義」「命の重さ」「母と子の絆」「悲しみへの援助」など,看護の過程において考える機会を多く得たので,私たちの行なった看護についてまとめてみた。
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