特集 奇形・障害児を出産した母と児への看護・Ⅰ
奇形児を出産した母と児への看護—私たちのとまどい,そして医師の対応
葛西 イネ子
1
1元:総合病院
pp.921-925
発行日 1987年11月25日
Published Date 1987/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207255
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はじめに
現代の進歩した医学は超音波診断法や羊水検査法などを生み出し,その結果,奇形児や先天異常児の早期診断が出生前から可能になってきているが,奇形児や先天異常児の誕生をゼロにできるということはありえない。一方,母親になろうとする妊婦は10か月という期間,不安と期待のさまざまな思いを抱いて出産の日を待つ。特に,五体満足か,先天異常はないかなど,奇形に関する不安は高年齢出産と否とにかかわらず大きいようである。その不安と期待の中で,妊婦たちは母親になる準備と自分の児に対する愛を温めていく。しかし,その児が期待に反し,異常児・奇形児であった時,本人は元より,家族や周囲の人たちはあらためてその事実にショックを受け,やがて拒否反応を示すことが多い。喜ばれるはずの誕生が一瞬にして悲しみと怒りに変わってしまうのである。
私自身が,分娩介助したその1事例について述べ,看護のあり方を探ってみたいと思う。
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