連載 JJM誌上講座・効果的を専門職教育のために・7
教師の資質と役割(その1)
平野 朝久
1
1東京学芸大学教育学部
pp.858-859
発行日 1987年10月25日
Published Date 1987/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207239
- 有料閲覧
- 文献概要
優れた教師とは,教師の意図するように生徒をコントロールできる人であるように見られることがある。そのような教師によって,いわゆる整然とした,きれいな授業が展開されることになる。しかし,けっしてそれは優れた授業の本質ではない。何よりもそこにいる全ての生徒たちが意欲的に課題に取り組み,充実した時間を過ごし,より深く,広い経験を持つことができ,より高い価値の実現がはかられるかどうかが問題なのである。
一般に教師は,生徒を自分の思う通りに動かしたいと思いがちである。そのために指示や命令を頻繁に出し,更に賞や罰を伴わせてそれらに従うことを徹底させようとする。しかし,生徒のもつ可能性は,その教師のもっているものよりはるかに大きいかもしれない。それを10年,20年余計に経験しているからということでその教師のもつ枠の中に固定してしまうのはどうであろうか。
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.