連載 シリーズお産人探訪・8
シアトルの助産婦たち—バースセンター,助産婦学校,病院にたずねた助産婦の世界
河合 蘭
pp.600-605
発行日 1994年7月25日
Published Date 1994/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611903342
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
どうしてもアメリカの出産環境は見たかった。話にさんざん聞き,本で読んだものに直接触れたい──成田空港は海外旅行客であふれているのに,私はまるで一世代前の日本人のようにそう思っていた。しかし,やはり育児をしているとなかなか思い切れず,親となってからの7年間,ただの1度も日本から出なかった。しかし今回,たくさんの方に助けられたおかげで何とか太平洋を渡り,短い間だったがとてもいい旅ができた。
4人に1人は帝王切開になる国にあって母子保健の改革者を自認してきたアメリカの助産婦たち──彼女たちは,かつて打ち捨てられ,州によっては違法の職業とみなされた歴史を持つ。しかし,この数十年間の間に復活し,成長し続けてきた芽はたくましい。それは,助産婦という職業が継続しているにもかかわらず,専門職としての姿がみえにくくなった日本とは対照をなしている。砂漠の文化のなかで生きる人々のしたたかな強さは,鮮やかであった。
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.