連載 教育評価のはなし
相関関係を考える—その3 相関係数のみかた(続)
岸 学
1
1東京学芸大学
pp.268
発行日 1986年3月25日
Published Date 1986/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206845
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前回は,相関係数の読み取りかたについてお話ししました。その中の例で,化学と英語の得点の相関が0.768であったような場合,「化学ができる学生は英語ができる」と結論づけられないと指摘しました。今回はこの例について説明してみましょう。
上の結論はどこがおかしいのでしょうか。それほどおかしいと感じられない方が大部分であろうと思います。この表現は,おかしいというよりもあいまいであり,二通りの解釈の可能性があります。第一に,「化学ができるならば英語ができる」というように,両者の間で原因と結果との関係,すなわち因果関係を考えていくものです。第二は,「化学の成績と英語の成績とが対応している」と考え,両者の変動の様子が類似しているとみる解釈です。これは,相関関係を考えています。
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