連載 教育評価のはなし
相関関係を考える—その1
岸 学
1
1東京学芸大学
pp.85
発行日 1986年1月25日
Published Date 1986/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206805
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今までの平均や標準偏差の話をもとにして,今回より相関関係について考えてみましょう。多くのデータ間の相関関係をわかりやすく表現するために,関係を相関係数の形で表わすのが一般的なようです。相関係数は,関係の程度を的確にとらえるには非常に強力な手段で,そこからいろいろな情報を読みとることができます。しかし,前回までの話と同様,係数の利用の仕方を誤ると,とんでもない結論を導く恐れも十分にあります。
あるクラスで化学と英語のテストを行なったとします。学生の1人1人は,化学50点,英語75点のように,両方のテストについてある得点をとっています。この2っのテストの間にどのような関係があるのかをみてみましょう。化学の得点の高い者は英語も高いのか,それとも逆になるのか,あるいは全くそのような傾向がないかなど,いろいろな関係の可能性を探ってみようとするわけです。そこで,関係のあり方をみるため,図1のように,横軸を化学,縦軸を英語の成績とし(逆でもかまいません),学生全員の成績を図内にマークしてみます。これを相関図といいます。もし,図内の点がAの直線の上にきれいにのるようですと,化学の得点の高い老は英語も必ず高くなるという最も強い正の相関がみられます。一方,Bの直線の上にのるような場合は,化学が高いと必ず英語が低くなっているのですから,最も強い負の相関があります。
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