研究・調査・報告
会陰切開縫合術のルチーン化と問題点
千村 哲朗
1
1山形大学医学部産婦人科教室
pp.790-793
発行日 1985年9月25日
Published Date 1985/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206724
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はじめに
産科管理における各種の検査や処置は,近年多くの面でルチーン化されその有用性が認められつつあるが,一方では,そのルチーン化に批判的な意見も認められる。たとえば,胎児心拍数モニタリング(Bentaら 1979,Haverkampら 1979,NIH報告 1979),分娩誘発(Chaimersら 1977,Yudkin 1976),産科麻酔(Bowes 1970,Brackbill 1977)などの有用性が,そのリストや合併症,コストの面から再検討を必要とする傾向がみられる。
分娩時の会陰切開縫合術は,現在アメリカでも62.5%1)に常用され,わが国でもルチーン化され高率に適用されている傾向にある。しかし,White(1968)2)によれば,その必要性は10〜20%のみであるという。近年,分娩時の体位における座産やラマーズ法の導入など,分娩時の管理法が自然かつ生理的な母体の要求を満足させる方向にある。こうした背景からも,会陰切開のルチーン化が,母児にとって有意義なものかどうかを再検討してみる必要がある。
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