特集 私の手術・Ⅱ
分娩時会陰切開および縫合術
中嶋 唯夫
1,2
Tadao Nakajima
1,2
1日本赤十字社本部産院
2日本医科大学産婦人科
pp.553-557
発行日 1969年7月10日
Published Date 1969/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204060
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はじめに
十数年前までは,会陰裂傷発生は,会陰保護術の拙劣によることが多いと考えられ,また会陰裂傷が切迫あるいは開始してから会陰切開が加えられるか,鉗子手術,骨盤位分娩に際して実施されていたが,他方,産婦も会陰切開をあたかも手術の一つと考え,児頭への圧迫を軽減せんとして会陰切開が積極的に実施されはじめた当時は,何処そこへ行くと下の方を切られる,などとの陰口を耳にすることもあつたが,昨今では会陰切開を云々するどころか,産婦から催促されることすら経験する。
従来,助産婦の手に委ねられていた分娩が家庭から施設へと移るようになり,医師でなければ会陰切開縫合が行なえなかつたが,このように医師の管理の下で過半数の分娩が行なわれるようになつたこともあつて,会陰切開が,特に初産婦で大部分に行なわれているが,一般婦人もこれに抵抗を感じなくなつた昨今でもある。
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