研究・調査・報告
長期に母乳哺育を続けるために必要な援助とは(第1報)
江崎 絹枝
1
,
室田 トモ子
1
1北海道勤労者医療協会札幌病院小児科外来
pp.794-798
発行日 1985年9月25日
Published Date 1985/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206725
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はじめに
母乳哺育は栄養学的にはもちろんのこと,母子相互作用の上からも重要であることは論をまたないが,離乳期を経て断乳まで長期に母乳哺育をする人は意外に少ない。長期にわたる母乳哺育を続けるには,まず母乳継続の最も重要な時期(母乳確立期とする)に対する援助が大切になってくる。当院の産科においては1976年1)から,新生児期の完全母乳哺育へ向けた援助を開始し,現在の退院時母乳栄養率(もらい母乳は含まず)は77%と効果をあげている。しかし,小児科の乳幼児健診に訪れるさいに調べた結果では,母乳栄養児は1か月健診で54.1%と減少し,6か月健診では42.7%にしか過ぎない。この減少傾向は他施設でも報告されており2),全国調査3)と比較して低くはない。しかし,母乳が小児に与える多くの効用4,5)を考えるなら,退院後人工栄養への移行を最小限にしてゆく必要がある。今回の調査では,月齢と共に母乳栄養が減少する問題点を明らかにし,今後の援助のあり方を検討することとした。
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