連載 教育評価のはなし
信頼性と妥当性
岸 学
1
1東京学芸大学
pp.736
発行日 1985年8月25日
Published Date 1985/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206710
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十数回にわたる講義や演習が終わり,教えた内容がどのくらい理解されているかを確かめようとするとき,最もよく使われる方法はテストの実施であろうと思われます。授業の理解度を知るためのテスト問題を作成するときには,授業での教育目標を基準にして,自分が何をどのように教えてきたかをチェックしながら,ミスのないように,より的確なものを作ろうとするはずです。
さて,この「より的確」とは,具体的にどのような内容をさしているのでしょうか。まずテストに要求される条件としてあげられるのは,そのテストをいつ,だれが,どこで実施してもほぼ同じ結果が得られるということです。作成したテストを別のクラスや他の担当者の授業で実施したところ,全く異なる結果になってしまったのでは,客観的に測定できるというテスト本来の特徴が損なわれてしまいます。一方,いろいろな条件下で実施しても,結果はそれほど大きく変動しないことがわかっていれば,そのテストを安心して使うことができます。この,テストの一貫性・安定性のことを信頼性(reliability)といいます。
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