連載 教育評価のはなし
相対評価と絶対評価—その2
岸 学
1
1東京学芸大学
pp.552
発行日 1985年6月25日
Published Date 1985/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206672
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前回は相対評価と絶対評価の基本的な考え方について述べました。今回は,教育目標の具体化や系列化が難しい実習や研究の評価について考えてみようと思います。
実習や研究指導の評価は,その内容からみて,相対評価よりも絶対評価(到達度評価)の方が適切であるといえます。しかし,実際に評価を行なおうとすると,いくつかの問題点が出てきます。第1に,教育目標が具体的な行動目標になりにくく,どのような評価項目群が必要かつ十分なものかの判断を下すのが難しい。第2に,実習や研究の状況や内容が多岐にわたるため,同一の規準で評価を行なうのが難しい(実習の時期や場所の違い,研究領域や内容の違いなど)。第3に,評価者が複数なため,評価結果のばらつきが大きくなりやすい。これらは別々なものではなく,お互いに関連した内容を含んでいます。たとえば,第3の問題は,複数の評価がいけないのではなく,第1,第2の問題点を解決しないで評価すると第3の問題が生じてくるという意味です。
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