Letter from Abroad 海外で活躍する日本の検査技師
生活感覚の相対性を発見—スリランカ2
安食 愛彦
pp.1046-1047
発行日 1987年8月1日
Published Date 1987/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543204241
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■裏切られたサバイバル生活の予想
日本を離れてから,早くも2年の歳月が過ぎようとしています.四方をインド洋に囲まれた小さな島国,それが任地のスリランカ民主社会主義共和国です.
一般に発展途上国といえば,暗く陰湿なイメージを描きがちだと思います.特に生活の場として考えた場合,それは悲壮感さえ漂わせます.まず水の問題,トイレ・風呂の問題,食事の問題,さらには熱帯病をはじめとする種々の疾病の問題と,私も実際に赴任するまでは,2年間のサバイバル生活を覚悟していました.これが観光ガイドブックになると,「地上の楽園」,「光輝く青い海」,「緑の島」などという美しいキャッチフレーズが並び,人々の関心を引くのですから,不思議なものです.確かに首都周辺や観光地にはホテルが建ち並び,ブティックなどの店も見られますし,道路では日本製の自動車が目白押しです.主要幹線道路は舗装され,電気,水の供給も十分なされています.サバイバル生活などとは縁のないりっぱな都市です.過酷な生活を想像していたとはいえ,まずはこれでほっとしました.でも今では,残念に思っています.
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