特別企画 プロセスレコードの活用
プロセスレコードによる看護場面の再構成の意義—自己評価(自己のふりかえり)のための一方法
阪本 恵子
1
1産業医科大学医療技術短期大学看護学科
pp.908-914
発行日 1984年11月25日
Published Date 1984/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206541
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はじめに
私たちは対象(患者)との日々のかかわりにおいて「先入観でみてはいけない」「対象の身になる」「患者の立場にたつ」「心情を受けとめる」「受容する」「傾聴する」「今一歩深まりのあるかかわりを」など,対象との関係をつくるためにこれらの要素をふまえたかかわりが大切であると認識している。しかし,逆のかかわりに終ってしまう場合も少なくない。
たとえば,医療過誤ではないかという患者の質問に対し,看護婦は不安になり,挑戦的な心理機制,すなわち,患者の立場より医療者側の立場を守ろうとする行動をとるという特徴(患者の立場で,共に涙を流し不安な心情に寄りそっていたときでさえも,とっさの場合は患者の立場を離れるという特徴)1)や,あたらずさわらずのまま表面的なかかわりで終ったり2),保健指導(説明)時「教えなくては」という看護婦側のニードが先行したり3),手術後の創部痛に対して,鎮痛剤の使用間隔の目安を最低2時間という看護婦自身の日頃からの判断が「まだ2時間たっていない」との認識となり,論評的なかかわりになってしまう傾向や4),苦手な内容に対する看護婦のこだわり・逃げ5)などがその例である。
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