特集 妊娠中毒症--病態理解から看護へ
妊娠中毒症患者の周産期の看護管理
野村 紀子
1
1北里大学病院看護科(母性・小児系)
pp.665-671
発行日 1984年8月25日
Published Date 1984/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206497
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はじめに
妊産婦死亡には,直接的産科死亡と間接的産科死亡とがある。そのなかでの主な原因は,妊娠中毒症と出血で占められている。わが国における妊産婦死亡の推移では減少傾向を示しているが,北欧やアメリカ,カナダ,フランス等の諸国と比較すると,決して低率とはいえない。妊産婦の死亡は,その妊産婦に限ることではなく,その婦人をとり巻く,家族,残された子供,夫と社会等,その周辺に大きな影響を与えるものである。
厚生省「母子衛生の主なる統計」によると,昭和53年では,妊産婦死亡総数378名で,そのうち121名が妊娠中毒症によって死亡している。また,「人口動態統計」によると,昭和56年では,直接的産科死亡実数は258名を示し,妊娠中毒症による死亡が減少していることは予測し得えても,ゼロにはなっていない。全体の統計数からみると,数値そのものは低値を示していても,死亡に到った婦人の周辺を考えると,決して満足してはならないと考える。
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