特集 臨床実習指導--なにを目指すのか
臨床実習計画の立案および実習における指導者の役割—効果的な実習指導をめざして
新道 幸恵
1
1東海大学医療技術短期大学
pp.184-190
発行日 1984年3月25日
Published Date 1984/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206410
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はじめに
看護者(保健婦・助産婦・看護婦)として実践活動のできる人を育成することを目的としている看護教育においては,実習の占める位置は大きい。看護者として実践活動ができるためには,看護者に必要な認知領域(知識等),情意領域(態度等),精神運動領域(技能),の3つの領域の能力を統合的に身につけていることが必要である。つまり,3領域の能力が相互に関連づけられ,統合化された状態で習得されていて,実践活動に際して調和ある働きをすることが必要である。
実習は,これら3領域の能力の統合化に不可欠な教授方法である。さらに実習は情意領域と精神運動領域の能力の育成にも効果的である。講義や演習は,認知領域や精神運動領域の一部の能力の育成に効果をあげることはできるが,情意領域と精神運動領域の大部分の能力の育成には必ずしも有効であるとはいえない。なぜならば,それらの能力は対象老(クライアント)の反応や状態に対応して発揮されかつ助長されるものであり,クライアントへの看護を実際に行なう実習により育成することが最も効果をあげるからである。
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