研究・調査・報告
正常産褥経過の観察についての再検討
成田 みゆき
1
,
野田 澄子
1
,
関 知代
1
,
小山 量子
1
,
木船 みどり
1
,
野平 知雄
1
1東京医科大学病院産科病棟
pp.802-807
発行日 1983年10月25日
Published Date 1983/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206318
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はじめに
一般に,産褥管理のうち,子宮収縮および悪露の状態の観察は,その良否を判定する大きな指標となる。ときにその観察法は,従来子宮収縮状態で産褥経過を追って,子宮の高さを臍下2横指など,臍を中心として表示している。これをわが国の成書で見ても大部分同様の記載がみられる。しかし妊娠中の子宮底の高さについては,現在はほとんど恥骨結合上縁からの,いわゆる子宮底長の測定を採用しており,成書も同様である。このため,妊娠・産褥期を通して子宮底の表示法に一貫性がないとの印象を受ける。
一方,悪露に関して,わが国の成書を通覧すると,悪露量は全量500〜1,000gで,その3/4は産褥4日間で排泄されるとの説明になっている。また,悪露の性状に関しても,ほとんどの成書が産褥3週以後白色に変わり,4週から6週には悪露が消失すると記載されている。ところが,日常,褥婦の1か月〜1か月半の定期検診時に,色調が未だ赤色を呈しているケースに数多く遭遇する。
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