特集 母性への援助の質を問う
対象にあった指導を考える—若年初産婦の看護をとおして学んだこと
倉元 晴代
1
,
原田 美枝子
2
1神奈川県衛生看護専門学校第一看護学科
2神奈川県衛生看護専門学校
pp.401-407
発行日 1983年5月25日
Published Date 1983/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206238
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はじめに
今日の日本は,核家族化,出生率の減少により子どもの数も一世帯あたり1人ないし2人となってきた。そのためか妊婦の中には,自分の子を抱くまで赤ちゃんを抱いたことがないという人が多くなっている現状である。そうした環境においては母性意識,つまり,子をかわいがり見守り,人間らしくこの上もない愛情をもって育てていこう,子のために自分たちもりっぱに生きていこうという考えが育つのはむずかしい。
子にとって,生まれて初めて出会うのは親であり,子は親を見ながら育つので,親は子にとって人生の教師である。乳幼児期は父親よりも母親に全面的に依存するので,母親の影響は大きい。その母親たち,これから母親になろうとする人々にとって,母子を中心に家族が協力しあい健全で明るい生活が営めるよう適切な指導が受けられることは,意義深い。母性に対し看護を行なう役割にあるわれわれには,適切な指導を受け持つ責任がある。
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