特集 母性への援助の質を問う
助産婦の役割とは何か—乳房マッサージを拒否する事例から援助を考える
岡部 恵子
1
1日本看護協会卒後教育部
pp.395-400
発行日 1983年5月25日
Published Date 1983/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206236
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はじめに
母乳哺育が見なおされ,母乳哺育確立のために助産婦は日々努力している。母乳哺育は単に身体的・栄養学的な利点のみならず,母と子の間に培われる,よりよい母子関係の成立にとってより重要であることは言うまでもない。
しかし,今,児にとって母乳を与えるのが最もよいと思っているのは妊産婦自身であることを,助産婦は忘れてはいないだろうか。妊産婦には母乳に関して種々の悩みがある。母乳で育てたいが,果たして十分出るだろうかと思う。職業をもつ者にはずっと母乳を与え続けられまいというあきらめもある。母乳の重要性を十分理解し,母乳で育てたいと思いながらも,母体の健康上の理由で与えられない母親もあろう。また,乳房マッサージの辛さに耐えられず母親失格を自認しつつ,母乳を与えることをあきらめようとする母親もあり得る。
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