母性保健特集講座 分娩の異常
高年初産婦の指導
岡本 ムツコ
1
1岡山大学医学部付属助産婦学校
pp.18-21
発行日 1964年6月1日
Published Date 1964/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202769
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はじめに
一般に高年初産婦といえば日本では年齢30歳以上の初産婦をさし,統計的観察の場合もほとんどそうしたとり扱いをしている.しかし欧米では35歳以上としているようである.1958年国際産婦人科学会の定義委員会でも35歳以上としたようだし,最近日本の産婦人科臨床医間においてもそうした考え方をする人がふえてくる傾向のようである.
そこで初産年齢はいく歳ぐらいが最適かという問題になると種々の意見があるが,解剖学的ならびに生理学的にみて,女性の身体が妊娠分娩に対して最適の年齢は18歳〜23歳といわれる.それ以前では性器の発育がなお不十分であり,また,25歳ぐらいになるとすでに身体の支持組織には急速に退行変化が現われ,組織はrigidになるため分娩障害の多くなる率も高くなってくる.しかしこの発育や老化現象はひじょうに個人差のあることなので一概にはいえないようである.統計観察による妊娠および分娩時障害の発生率や,新生児発育状態などを見るとともに,育児などの社会的観点をも考えあわせると,初産年齢はまず22歳〜25歳ごろが最適であろうと考えられる.
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