産科超音波診断法の実際・4
胎児奇形—水頭症,無脳症,胎児水腫
一宮 和夫
1
1東京医科歯科大学産婦人科
pp.793-796
発行日 1982年10月25日
Published Date 1982/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206096
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はじめに
少産少死の社会的背景と相まって,胎児奇形は,母親・家族および医療サイドにも大きな問題となる.薬剤や有害物質汚染等,環境因子の悪化に伴い新生児(胎児)奇形の発生頻度は増加する可能性があるが,医療サイドとしては,その発生原因を追求し予防することが第一ではあるが,産科の現場においては,より早期に異常を発見し,対処することが肝要であると思われる.
第1回に述べたように,超音波診断法はX線診断と違い,母体および胎児に対する侵襲が少なく,また,軟部組織を描写できるので,胎児奇形のスクリーニングには最適である.最近の電子スキャンの使用により,胎児の動的な把握ができ,また,探触子を容易に移動できるので,短時問に多くの断面像を確認することが可能である.逆に検者は,多数の連続断面像より胎児全体の立体像を認識できるよう,十分な訓練をつまなければならない.
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