グラフ
古きよき出産に現代医療をつなぐ—病院付属家庭分娩の試み
吉村 正
,
本誌編集室
pp.789-792
発行日 1982年10月25日
Published Date 1982/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206095
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7月号のグラフでご紹介した"古典的労働は安産への接近法"を主張する吉村正氏はまた,病院に隣接した民家で“家庭分娩”を実行している。吉村氏は自然分娩推進者であり,安全性第一主義の現代産科医療に欠けがちな,あたたかみやぬくもりを,出産という家族にとっては一大できごとの中に取り入れたいと考えていた。確かに,ついこの間までは,出産はよほどのことでない限り,ほとんどがそれぞれの家庭で行なわれていたし,それほど不都合もなかった。出産時に母子をとりまく器械類が多くなるほど,失われていったものも多くなったようだ。吉村氏はなにがなんでもの自然主義者ではない。ただ人間にとって本当に大切なものはなにか,本当の幸福とはなにかを考える人なのである。その延長で,人間の誕生を冷静にあたたかく受けとめているのである。
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