特集 母乳哺育の現況・Ⅰ
母乳栄養推進にむけてのこころみ—新生児ビタミンK欠乏症の予知とその対策
菅野 佐智子
1
,
田村 厚子
1
,
北島 和子
1
1静岡県立中央病院
pp.542-547
発行日 1982年7月25日
Published Date 1982/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206050
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はじめに
新生児にとって母乳栄養が最も優れていることはいうまでもない。わが国で母乳栄養推進がさけばれるようになったのは,昭和42年の小児科学会栄養委員会の「母乳をすすめる」の勧告がなされてからである。広く産科医の理解を得てからは,それぞれの施設で母乳推進に努めてきたが,最近母乳栄養によるビタミンK(以下V. K)不足の問題が指摘されてきている1)。
当病棟(静岡県立中央病院産科病棟)でも母乳栄養の確立を目指してきたが,不幸にもV. K欠乏症が原因と思われる頭蓋内出血と肝臓出血の2例を経験した。この症例を通して,私たち助産婦は母乳栄養におけるV. K欠乏症を早期に発見する必要に迫られ,母乳栄養を勧めていく上で,母乳のただ一つの弱点ともいえるV. K欠乏症に着眼した。
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