特集 母乳哺育の現況・Ⅰ
母子クリニックの考え方と活動の現況
小林 美智子
1
1伊那保健所
pp.538-541
発行日 1982年7月25日
Published Date 1982/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206049
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なぜ母子クリニックを始めたか
「赤ちゃんが産まれたら,自分の母乳で育てたいと思う人は?」と問いかけますと,母親学級受講生12人全員の手がさっと挙がります。「では,母乳で育てられるだろうと思う人は?」という問いには,自信をもって手を挙げる人は3人で,あと9人のうちの3人が自信なげに半分くらい手を挙げます。「残りの皆さんはどうして母乳で育てられないと思うのですか」と尋ねますと「産休明けにすぐ仕事に戻るから」という人が2人。「友達が母乳は大変だといっているのを聞いて不安になった」「やせているから母乳が足りるほど出ないんじゃないかと心配だ」「太っているとよく出ないといわれて心配である」と不安がる人が3人。「乳頭がへこんでいるので」という人が1人でした。その人の場合,学級終了後診察しますと,やや扁平気味でしたが心配のない乳頭でした。
これはある日の当保健所母親学級での一コマです。母乳哺育の重要性を話す前に,毎回受講生の皆さんに母乳哺育について,上記のようなことを質問することにしているのですが,答の比率はだいたいいつも同じです。出産前は誰しも母乳で子を育てたいと願っているのですが,実際には出産後,すべてのお母さんが母乳哺育ができるようになるとは限りません。
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