特別寄稿
座位分娩における分娩管理と介助の実際
永井 宏
1
,
古賀 詔子
1
,
佐々木 美代
1
,
佐藤 洋子
1
,
三浦 ふさ子
1
1医療法人向仁会永井病院
pp.466-480
発行日 1982年6月25日
Published Date 1982/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206035
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はじめに
近年の周産期管理の高度化には目を見張るものがある。また一方では自然分娩への回帰も熱心に推し進められている。言い換えれば妊産婦の分娩に対する期待はさまざまであり,それに伴って分娩の多様化時代を迎えていると言っても過言ではなかろう。
アメリカにおける分娩管理は西高東低とも言われ,西海岸すなわちカリフォルニア州の諸機関を中心として優れた研究業績が発表されているが,一方ではそのお膝元において,自然分娩志向の運動が著明であることは注目に値する。市街地の書店では家庭分娩をはじめとして,分娩についての参考書がベストセラーを続けているし,またその本の種類たるやわれわれの想像を絶するものがある(写真1)。当然のことながら,家庭分娩は危険を伴い,周産期死亡率の数字の対比においてもその成績の悪いのは明らかであるが,それにもかかわらず家庭分娩を試みる者たちが後をたたないのが現状である。米国の一部基幹病院ではこの現実を踏まえ,家庭分娩が求められるゆえんと高度周産期管理との調和への検討が,純医学的な立場からも試行されつつある。
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