特集 分娩体位考察--よりよい分娩のために
座位分娩のメリット
永井 宏
1
1永井病院
pp.362-370
発行日 1988年5月25日
Published Date 1988/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207374
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はじめに
近年,周産期管理の高度化に伴い,わが国の妊産婦死亡や周産期死亡は大幅に減少した。厚生省の人口動態統計によると,妊産婦死亡率(出生100,000対)は1899年(明治32年)449.9(実数6,240人)が1986年(昭和61年)には11.7(実数162人)に低下し,周産期死亡率(出生1,000対)もまた1950年(昭和25年)46.6(実数108,843人)が1986年(昭和61年)には7.3(実数10,156人)までに下降させる目覚ましい進歩をとげた。
一方,女性を取り巻く社会環境も急激な変貌を展開している。高度経済成長,核家族化,少産時代,女性の社会進出などあらゆる因子が女性の「自主性」を目覚めさせ,女性の意識確立を促しつつある。必然的に女性の出産に対する意識も「受け身」から「選択」に変化しはじめ,妊産婦の要求も多様化している。妊娠・出産の「安全性」が確保されつつある今日,「安全性」を基盤としてさらに「自然性」「安楽性」が妊産婦のニーズの必須事項になり始めている。
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