特集 助産の歴史
助産婦活動の歴史的意義—明治時代を中心に
岡本 喜代子
1
1大阪府立助産婦学院
pp.577-599
発行日 1981年8月25日
Published Date 1981/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205887
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はじめに
分娩は人類が誕生して以来存在し,今後も人類が存続する限り続いていく生理現象である。そしてその生理現象は,時として一瞬にして母と子を生命にかかわる危険状況に陥れる可能性を絶えず秘めている。また,正常に経過しても,常に陣痛という苦しみが伴う。それゆえ,女性にとっては,いつの世にも生命がけの一大仕事であった。
この女性にとって一大仕事である分娩も,古来日本においては「神に対して汚穢なもの,忌むべきもの,人の前に語り継ぐことのできないものといふ……」考えから「産屋」という隔離された場所で,1人で行なわれていた1)。
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