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助産婦の歴史とこれからの道
石原 隆良
1
1編集部
pp.51-55
発行日 1958年6月1日
Published Date 1958/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201496
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<助産婦から母性婦へ>
『明治年代では改訂された新語とされていた産婆と云う呼称は,時代の進むと共に妥当でないとの声が次第に高くなつた.助産婦と云う語は,たしか大阪の緒方正清先生の提唱であつたと思う.少くとも当時の産婆に対して助産婦学の名を用いたのは,正清先生が最初であつたと信ずる.然るに少くともこれからの助産婦の職業は決して助産のみではない点からすると助産婦の名も亦た妥当ではなくなつた.私は日頃から妊娠・分娩及び産褥を総括して「母性現象」と呼び,妊婦・産婦及び褥婦を総括して母性と呼ぶがよいと考えていた.そこで助産婦の名は終に母性婦——母性指導婦—と改訂すべき時になつたと考えている.この私の考えは米語とも一致することを知つた.米語では母性(母たること)をmaternityと云い,産院をmaternity hospitalとも云い,助産婦のことをmaternity nurseとも云う.maternity nurseは母性看護婦の意で,私の母性指導婦と全く同意義である.
要するに「助産婦」の名は「とりあげばば」—産婆—助産婦と改訂されて,最後に母性婦で落ちつくべきではあるまいか。』
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