特集 生命誕生と医の倫理
生まれ出づること
久保 成子
pp.46-49
発行日 1981年1月25日
Published Date 1981/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205803
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21世紀への叫び
それは,東京・お茶の水にある高台の並木路を駅の方向に歩いていた時のことである。
フランスの文化人として著名であるシモーヌ・ド・ボーヴォワール女史の『ボーヴォワール自身を語る』という映画を観ての帰りであった。((もし女たちが1人前の人間になりたかったら,家庭というゲットー(強制収容所)に生涯,幽閉されることは絶対に拒否しなければならない。(……)親にとって子供の存在が自分の孤独を根源的に解決することにはならないのです))などといった女史の自信に満ちた言葉が続々と飛び出し,それに圧倒されてか,友人と私は一言の会話も持たず歩いていた。と,突然,けたたましい声が頭上に響き,私たちは驚いて立ち停った。
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