専門職への道
個別受け持ち制によって力を高めたい
竹中 美
1
1自治医科大学付属看護学校
pp.788-792
発行日 1979年11月25日
Published Date 1979/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205634
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不信の声を謙虚にうけとめることから
わが国の母子保健の水準が,年々着実に向上していることは事実であり,この向上が,施設分娩による医学的管理の成果であることも認めなければならない。ところが,この医学的管理の中身が今問われはじめている。「お産革命」1)や「出産白書」2)にみられる施設分娩の体験者による医療不信の声には,大きな病院へ入院しさえすれば安全で楽に産ませてもらえるといった考えが,少しずつくつがえされてゆきそうな気配が感じられる。またこの不信の声に注目してみると,助産婦と産婦,あるいは医師と産婦というような,医療を受ける側と提供する側の人間関係が,何らかの理由ですっかりこじれてしまっている場合が多いことに改めて気づかされるのである。忙しい施設の中においても,ひとりひとりの妊産婦が満足できるような対応をしてゆくためにはどうすればよいのか.すぐには解決できそうもない問題も多いけれど,まずは医療を受ける側にある不信の声を,全体からみればたとえ少数意見であっても,謙虚に受けとめてゆく姿勢が大切であろう。
一方では最近ラマーズ法をとり入れて,夫や他の家族,産婦にとって親しい友人までもお産に参加できるという,(自主的)自然分娩法に対する関心も高まっている。また母乳哺育につながる桶谷式乳房治療手技が,助産婦の行う専門技術としてクローズアップされ,全国の助産婦の間に少しずつ浸透し始め,これを受ける側からも大変よろこばれている。
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