助産婦の仲間を訪ねて・37
—京都府助産婦会の大谷喜子さん,笠松芙三子さん,松田シズエさんの場合—互助の精神で開業のよさを守りつづける
菅沼 美奈子
1
1京都大学医療技術短期大学部
pp.782-786
発行日 1979年11月25日
Published Date 1979/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205633
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■新しい世代の足音を聞きながら
「夫と友人に囲まれてお産をするだけではダメなんです。自分の家で自分の出産をなし遂げたという体験を,女子高校の教師として,生徒たちに伝えたいのです」これは,前夜自宅分娩をした産婦の強い願いでした。取り上げられた大谷さんと笠松さん,それに仲間の松田さんのお顔は,久し振りの自宅分娩と,新しい世代の熱意にふれて興奮に輝いていました。
そうです。自宅分娩といっても,この若い夫婦の描いているイメージは明らかにひと昔前のそれとは違っています。お産が終ると,産婦までが起き上って,助産婦さんの説明に耳を傾け,つい先ほどまで息子の城であった袋(胎盤と卵膜)と,膊動を打っていたはずの臍帯にふれて,驚きの声をあげながら写真を撮ったりしていたということです。この事例はラマーズ法のグループでも何でもない,ただ外国の文献に刺激されてそのような出産を望んだ人たちでした。助産婦さんからは,「初産婦だから」と助産所での分娩を再三すすめられたにもかかわらず,夫婦で頼み込んで,遂に念願を果したのでした。
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