特別企画 母乳哺育指導の新たな胎動
当院における母乳哺育指導の実際
一丸となって取り組んだ母乳確立への試行—社会保険中央総合病院産婦人科病棟
田村 美津恵
1
1社会保険中央総合病院産婦人科病棟
pp.691-694
発行日 1979年10月25日
Published Date 1979/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205614
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1.はじめに
母乳栄養の積極性が自然と母児間の接触を高め,その結果,心理面の良好な発達が期待されることはよく知られている。早期の乳頭吸啜刺激により母乳分泌促進効果を上げ,不安の早期解消が円滑な母児関係の成立をもたらすのである。母乳という栄養品は児への自然の贈り物であるが,それにも増して人間と人間の裸の触れ合い—,これこそまさに真の意味の自然の贈り物であることを母親に認識してもらいたい。施設分娩の問題点の一つに母児同室制か異室制かの議論が出て久しいが,その中で,母子間の心理的,栄養的,また,感染症等の問題については様々な角度から検討が加えられている。いずれの方法にせよ,医療者側の姿勢としては,個々の人間の積極性をいかに引き出すかが最大の課題であり,その意味からも分娩後早期の母児接触が母乳栄養の確立,母児間の人間関係にとって欠くことのできないものであることは確実である。
当院産婦人科病棟は定数28床,分娩予備ベッド4床,年間分娩件数約700件,開腹手術約100件であり,勤務員は婦長1名,助産婦10名,准看護婦1名,助手2名である。体制として,2人夜勤の3交替制で助産婦業務と看護業務を行っている(昭和54年5月まで助産婦14名,助手2名であった)。当産婦人科病棟は退院まで母児異室制であり,母親学級も54年7月まで病棟の業務であった。現在は連絡をとりあいながら婦人科外来勤務の助産婦が行っている。
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.