Medical Scope
IUGRに関する新しい診断法
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.1081
発行日 1987年12月25日
Published Date 1987/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611207289
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第23回日本新生児学会総会が7月17日から3日間,松江市で開催されました。学会の招請講演で英国のキャンベル(Campbell)教授は,IUGRや妊娠中毒症における胎児診断の新しい技術とその考え方など周産期医療の最先端の一部を発表され,私たちに大きな感銘を与えてくれました。そのうちのいくつかの話題をここにお知らせしましょう。
妊娠20週頃に,このケースはもう少しすると妊娠性高血圧になるぞとか,胎児がIUGRになるとかが分かれば,その対策も立てやすくなります。実は,それが可能な時代になったのです。超音波ドップラー法を利用した血流計測器(血液の流れの強弱を波形で表現する装置)で,妊娠中の子宮動脈や臍帯血管内の血流を測定し,その強弱を波形や数値で表現できるようになったのです。この方法を用いて妊娠20週から24週ぐらいの間に子宮動脈の血流をみているうちに,ある症例では,正常例に比較して著しく血管内の抵抗が強く,したがって血流量が少なく,時には止まってしまうように見えることが分かりました。そしてこのような症例は,妊娠末期になると高血圧がおこり,妊娠中毒症になり,胎児もIUGRになっていくのです。
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