Medical Scope
胎盤生検(その2)
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.496
発行日 1979年7月25日
Published Date 1979/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205581
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先月号からのつづきで,胎盤生検(バイオプシー)の臨床的な価値,応用のしかたについてお話ししましょう。
妊娠初期では胞状奇胎が疑われる時に用いられます。もちろん,胎盤生検を行なわなくても,胞状奇胎は超音波断層法で診断できますが,超音波では単にそれが胞状奇胎であるかどうかだけしか診断できません。ところが,胎盤生検では,その組織をとってくるので,顕微鏡でみて,悪性度を診断することも可能です。悪性度の弱い死んでいるような胞状奇胎か,すぐに手術しないと子宮が破裂してしまうような破壊性の胞状奇胎なのかの診断もつくので,このような手段も必要となってくるわけです。また,双胎のときに,1児は正常の妊娠で,もう一方が胞状奇胎のこともあります。こんな時にも胎盤生検は非常に役立ちます。一方の正常な胎盤は全く正常なのかどうかを診断し,他方の胞状奇胎は胎盤生検で悪性度をみて,悪性度が強ければ他方の胎児が育たないような早期でも,母体のために妊娠は中絶しなくてはいけないし,悪性度が弱ければ胎児生存可能な時期まで保存が可能かどうかといった診断もでき,この場合には,胎盤生検にまさる診断法はありません。
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