私と読書
プラクティカルにまとめられた産科臨床従事者必読の書—「周産期・産婦人科の治療と看護技術」を読んで
岸 英子
1
1東北大学医学部付属助産婦学校
pp.826-828
発行日 1978年12月25日
Published Date 1978/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205481
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生命の誕生,人生の出発点が,その人の生涯にとって,家族にとって,社会にとって,人類の存続にとって重要であることは今更申し上げるまでもないことである。産科学は母と子の2つの生命を尊重し,これを守るために発達してきた。また産科学の発達なしに国民保健の中核をなす母子保健の発展もありえないといっても過言ではないと思う。臨床医療の場では産科と婦人科は密接な関係にあり,産婦人科医療に従事するものにとって,医学の進歩についてゆくためには,教科書や参考書・学術雑誌は必需品である。
我が国では産科学・婦人科学の教科書が数多く出版されているが,全体を系統的に叙述したものが多く,医学部や助産婦学生の初学者入門のための書としては適当であっも,母児の生命を左右するような緊急処置には必ずしも適切とは言えない。また実地臨床では基本的なやさしいこと,たとえば,子宮底長測定法とか投薬量など,意外とわかっていないものである。診療指針や看護基準の差によるものもあるが,この「周産期・産婦人科の治療と看護技術」は実践的なことを明解に記述している。
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