Medical Scope
妊娠中の高血圧を示す原因をめぐる話題
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.824
発行日 1978年12月25日
Published Date 1978/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205480
- 有料閲覧
- 文献概要
妊娠中の高血圧状態というのが今日の正しい表現法なのですが,以前からいわれているのが,俗にいう妊娠中毒症です。この妊娠中毒症の発生原因をめぐる最近での話題を2,3お話しすることにしました。
妊娠中毒症はどうして,どんなメカニズムで発症するのでしょうか。その原因については,今日まで,多くの学説がありました。しかし,今日の老え方では,妊娠中毒症を発生させる特殊な物質はこれといって確かなものは認められないということです。そして,どうやら,子宮から胎盤への循環血量の減少がその発生原因らしいということがわかっています。しかし,その子宮胎盤循環血量を正しく,正確に測定することは非常にむずかしく,また,ヒトで行なうには困難さも加わってくるので,どの程度,どんなふうに減少してくると妊婦は高血圧になるのかということについては,詳しく論じられるような段階ではないのです。しかし子宮胎盤をまわっている循環血量が少ないと,妊娠している母体の血圧は上昇してくる,ことに拡張期血圧が上昇してくることは確かのようです。とすると,母体の高血圧状態を作るのは妊娠している胎盤にも原因があるとする考えとなってきます。
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.