インターホン
今,私の思うこと
加藤 征子
1
1名寄市立総合病院
pp.829
発行日 1978年12月25日
Published Date 1978/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205482
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今日もまた,女子中学生が自殺した。1週間前からの計画だという。生きるということに素直すぎる者,まじめな者だけが,こうして犠牲になり死んでいく。なんて悲しい社会になってしまったのだろうか。ずるい者は人を蹴落し,前進していく。そして,この社会の支配者となっていく。この悪循環をどう受けとめればいいのか。あらゆることに疑問を持ち,そしてそれをどう解決すればよいのかを必死に考え通した中学生。このすばらしい姿勢こそ,今の社会に必要ではないのか。
死ぬことは簡単だ……そう皆は言うけれど,そして死んだ者を憶病者と呼ぶけれど,果たして本当にそうなのであろうか。死ぬ瞬間,それはあまりにも美しすぎる。人間の本来の姿にもどって,何も考えずにすべてのものを払いのけて……そんな気持ちになることが死の世界なら,私は行きたい,その道へ。
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