MEDICAL SCOPE
双胎をめぐる新しい話題(3)
島田 信宏
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.684
発行日 1993年8月25日
Published Date 1993/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900859
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先月号からのつづきで,今月は妊娠中に双胎間輸血症候群の1児が羊水過多を合併しているのを発見したときの,産科側の対策の話題です。前回までの内容からすでにおわかりのように,羊水過多のため受血児側の水圧が強いということがその胎児への悪影響を増大させているので,まず第一に実施することは,多すぎる羊水の除去です。
500mlぐらいの羊水除去では胎児の血圧や抗利尿ホルモンの分泌には作用しないことも研究されているので,少なくとも1000ml以上を除去しないとその効果は出現しないとされています。そういえば,ごく少数例だとは思いますが,羊水過多の児の羊水を一度に大量に除去すると,それ以後には羊水過多とはならずに,そのまま妊娠を継続して正期産に至るという双胎の例もあるのです。私自身も2,3例体験したことがあります。
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