Medical Scope
新生児仮死蘇生術をめぐる話題
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.124
発行日 1979年2月25日
Published Date 1979/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205506
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新生児仮死蘇生術は古くから産科医や助産婦の共通の話題として広くとり扱われてきました。また,臨床の実際の場でも,私たちは多くの仮死新生児に対して蘇生術を数多く行なってきました。そのような古い歴史のある技術も,時代とともに,ずい分と変ってきました。昔は非常に優れているといった手技も,今日では全く否定されるといった皮肉な結論がひき出されてしまったこともありました。そこで,新生児仮死蘇生術の最近の考え方やその話題をここに集めてみました。
まず第1に頭に入れておきたいのは,新生児仮死蘇生術の根本手技は気管内挿管による人工換気療法であり,その他の方法は全くその補助的手段にすぎないという結論です。もちろん,出生直後の新生児に対する処置として,顔をふいて鼻腔の羊水を押し出したり,羊水吸引を行なったり,酸素を与えたり,背柱をこすり上げたり,足蹠を軽くたたくなどの刺激を与えたり,臍帯静注をしたり,保温のためインファント・ウォーマーを使ったり,その他にもやることはたくさんあります。しかし,何といっても,最も短時間で,最も効果的に新生児を蘇生させることのできる手技は,気管内に挿管した気管チューブに術者の口をつけて,そっと息を吹き込んでやるmouth to tube法,あるいは,その気管チューブにアンビュー・バッグをつけて1秒間に1回の割でバッグを押して人工換気を行なうbag to tube法です。
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