母性保健特集講座 新生児
未熟児の管理と保育
藤井 とし
1
1東京都立築地産院小児科
pp.32-37
発行日 1964年12月1日
Published Date 1964/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202881
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はじめに
未熟児の問題が日本で取上げられるようになってから10年余になり,完備した設備ができ,保育,治療についての研究もすすめられ,死亡率は減少しています.しかし未熟児の保育は,死亡を減少させるとともに,後障害を残さない正常な児を保育することでなければなりません.低体重の未熟児に後遺症の多いことが発表されていますが,これは保育に誤りがあり,あるいは不適当であったことが,大きく影響していると思います.
よりよき保育を行なうには,施設が完備していること,勤務医師,看護婦,助産婦の人員が十分であり,また熟練した者があたること.そして未熟児の状態を詳細に観察し,正しい診断のもとに,適切な治療を行なえるようであってほしいと思います.いまひとつ大切なことはFollow upを完全に行ない,保育した未熟児がどのような精神運動機能の発達をするか,脳性麻痺にはならないかを知ることにより,保育に対するよき反省の材料となります.
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